2020年1月 選ばれる診断士 with 働き方改革

講師:野路 謙
開催日時:2020年1月22日(水)

1.イントロダクション

競争激化を背景に“選ばれる〇〇”とは、「環境変化に対応し有益な顧客提供価値を継続的に付与できる者」と思われる。金融業界をみると、日本型金融排除という問題点があるなか、選ばれる金融機関になるための鍵は、情報の非対称性の解消、「金融仲介機能のベンチマーク」の積極的開示(金融機関の取組の「見える化」)、事業性評価(理解)の実施とフィードバック、「ローカルベンチマーク」による対話の推進等による共通価値の創造である。

2.選ばれる診断士

選ばれる診断士とは、次のような特性を持つ診断士と考えられる。
・中小企業に対する深い知見と支援の熱い志、スキル、ネットワーク等を持つ。
・顧客とコミュニケーションを深め、顧客の真の経営課題等について気づきを与える。
・伴走型支援で実践から中小企業の自立につなげる。
具体的には、中小企業の数が大幅に減少している状況で①財務的安全性の確保②収益力の確保③心理的安全性の確保の支援が急務と思われるが、ポイントは以下のとおりである。
①には、資金繰りの円滑化が重要であり、前述のローカルベンチマークの作成支援等で企業価値の「見える化」(地域企業の「稼ぐ力」の向上にもつながる。)を図り、金融機関との対話をバックアップする。合わせて、企業支援の基本(OS)である知的資産経営、価値デザイン社会で将来を構想するための思考補助ツールである「経営デザインシート」やビジネスモデルをより詳細化する「ビジネスモデルキャンバス」の理解、活用も不可欠である。
②には、まず顧客満足経営が重要であり、価値観が多様化している顧客に、顧客の立場にたち、「心の豊かさ」を実感してもらえる新しい価値を創造し提案する経営の支援を行う。
③には、コミュニケーションの円滑化が重要であり、組織の活性化支援を行う。

3.「働き方改革」の実現方法

少子高齢化、生産年齢人口の減少等を背景に、多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会が求められている。今年の4月から中小企業においても時間外労働の上限規制がかかるなど「働き方改革」は、喫緊の課題であり「改善」ではなく本格的な取組が必要である。
「働き方改革」を実現するポイントは以下のとおりである(働き方改革ゴーS)。
さ・・・最優先事項は、「長時間労働の削減」
し・・・社長(経営層)の「本気度」と周知徹底
す・・・すべての土台は、「コミュニケーション」
せ・・・「生産性向上」の仕組み作り
そ・・・「組織的」な推進体制

講師略歴

野路 謙

平成2年診断士登録。特定社会保険労務士。

一橋大学卒業後中小企業支援の政府系金融機関に38年勤務。

創業等融資、経営相談、支店運営業務等に従事後現在は、公益財団法人勤務。

 

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